背景
2018/2/18(日)、SNSで知り合った信州の農家Sさんが企画された「0円キッチンという映画をみんなで見て、その後の懇親会でフリートーク」というイベントに参加。
とても素敵な方々がたくさん参加されてたので、記録がてら投稿。
また、素晴らしい企画をしてくれたSさんに、この場を借りて改めてお礼申し上げます。
映画内容の簡易メモ
※あらすじなどはリンク先参照⇒ 参考リンク
以下、かぶきもん目線の簡単なメモ書き
① 欧州議会は2025年までに廃棄食材を半分に
(かぶきもんコメント) 風呂敷を広げるのはいいが、具体策を問われると閉口。まずは現場で手を動かして本質を見ることから始めるべき。これは私が働く企業のような組織のマネジメント層にも言えること。
② エルタール市はスーパーに賞味期限切れ食品を寄付するように義務付けているがカルフールというスーパーが規則を破って廃棄しているのを主人公が発見して市長に報告し、市長は「罰する」と発言。
(かぶきもんコメント)「なぜ違反したのか?」を考えないと、繰り返されること間違いなし。トップダウンという仕組みは必要だと思うが、それを活かすも殺すもトップ次第。現場と対話して本質を掴みつつ信頼を構築してから指示すべき。これは企業のマネジメント層にも当てはまることであり、本件に限ったことではない。
③ その他トピックスのみ覚書メモ
・フランスの魚、混獲の法律
・豚の飼育から食べるまで・野草や個人の庭の作物をアプリ共有
・規格外の野菜
・昆虫食
1人目:蕎麦倶楽部の佐々木さん
緑町で蕎麦屋を営むSさん。原そばは粒が小さく一般には評価されないが、Sさんは原種に近いものを高く評価しており、農協で出すものよりも高く購入するようにしてる。規格外の原種は手に入れにいが、実は原種の方が味も良い。大粒のが人気だから、原種が消滅の一途をたどる、とのこと。
イベントからやがて3年が経つのに全然行けてないが、いずれ絶対訪問したいお店です(^^)
蕎麦倶楽部 佐々木 – 松本/そば [食べログ] (tabelog.com)
2人目:農水省のYさん
長野氏のYさんは、農水省勤務。職場は大量生産・大量消費がベースなのに、Yさんの生き方は真逆。
たとえばボランティアでフードバンク信州の立ち上げを一昨年手伝われたとのこと。
ここは子ども食堂に食事を出荷(長野には50箇所の子ども食堂がある)。
以下、いただいたちらしの1ページ目。
他にも信州ひらがな料理普及隊という昔ながらのばあちゃんの手作り料理を子供達に伝える活動にも尽力(テーブルが普及する前の箱膳なども)。
以下、いただいたちらしの1ページ目。
3人目:農家民宿のMさん
Mさんは農家民宿を経営。3年前に長野にきた。東京生まれ東京育ちだったが、別の農家民宿に泊まって人生感が変わって移住を決意。自然農などのお客さんが多く、食について考えるようになった。(みんなでみた映画は廃棄食材を無くすという趣旨だったが、)きゅうりが多すぎるのを見て、無理に頑張って消費するだけでなく自然にもどすのもありかなと思うようになった。少ないと餓死するから、必要量ちょうどを狙って作るのは現実的ではいし、多いのは仕方ないと考える。長野はおすそ分けの文化があるが、集まりすぎて消費に困ることもしばしば。みんなどうしてるのか気になる。
※ `他の人のアイデアとして、アプリを使ってシェアしたら?といった意見も
4人目:安曇野料理人さん
グローバルとローカルをつなぐグローカルという造語の活動が好きとのこと。
鹿の合挽肉のメンチカツとかは、若い人は積極的に食べるが年配の方は敬遠する。
ジビエ肉は家畜と違って安定供給できないのが難しいところ。ジビエ肉が必ずあるのを前提とせず、「今日はあたった」と受け止めてくれるお客がありがたい。料理人は漁師から直接買うことはできない、肉屋から買う。山肉は家畜の肉と持ってる菌が違うので新しい加工設備の投資が必要。供給が不安定なのも加わって難しい。元大工が全部自分でつくっても1600万という例も。
狩猟したところから1時間以内に持ってかないといけないが、鹿やイノシシも警戒心が高まり、林道から1時間のとこに住まなくなってる。林道が整備されれば少しは改善する可能性もある。
穂高の上のとこは猿害で米とか全部食われる。
猟友会も猟の報奨金が目的になって、9割が捨てられてる。移動解体車も増えてる。現場では冷凍車が欲しい。窒素のタンクを持ってくのが難しい。移動解体車も林道がしっかりしてないと入れない。
山肉は腐りにくい。例えば野菜は肥料で窒素過多にやり、腐敗の方向にいきやすい。同じように家畜も飼料の影響で腐るのではないか?
食育についても真剣に考えられている。印象的だった話は、地元の小学校で何グループかに分けて合鴨を飼育させるというもの。最終的に、大切に育てた鴨を自分たちの手で殺して食べるというものだが、グループ毎に殺すか否かの議論をさせるところから始める。殺すと決めた班も泣きながら合鴨を殺し、命の尊さを学ぶ。
(かぶきもんコメント)映画に出てきた「豚を大切に育てて感謝して食べる」という話に近い。私個人としては、人の長期記憶にしっかり刻み込む教育は、「反復」と「いかにインパクトを残すか」だと考える。今回教えてもらった合鴨を通した食育は後者の模範的な例であり、教育のあり方について私自身が学ぶことができた。こちらもいつか行ってみたいお店だったが、2020/12/13現在、グーグルマップを見る限り閉業している模様。またお会いしたかったのに無念・・・(T T)
5人目:りんご農家の方
安曇野で2004年から新規就農のりんご農家の方。京都出身。苗木から起こしてる。仕事量は多い。作るのが好きなので、儲かるよりもやったことに対する対価が得られればいいという価値観。安曇野の生産量は減って来てる。離農や株が古くなって切り替えてるとかの影響。どこの農家も付加価値に走って結局同じようなことをやってる。そんな中で基礎からやるのが好きで海外の論文を徹底的‘に読んでる。2つの軸の仕立て方など、日本で前例のない仕立て方を実践。果樹は平面ではなく立体なので、お日様をいかに効率的とり入れるかの目的など。5年前くらいに種をまいた仕事で今盛り上がってるが、年齢的に落ち着いた自分は冷静にみてる。今は生産の足場を固める時期。人と会うより一人で畑にいる方がいい。
(かぶきもんコメント)「やったことに対する対価が得られればいい」という欲の無さや新規就農で飛び込むバイタリティも尊敬するが、「海外の論文で研究」というところに特に感動した。先人の知恵を学んだ上でクリエイティブな構想を練り上げ、種を撒き、こつこつ時間をかけて大輪の花を咲かせる一連の流れはどんなフィールドでも変わらないんだなとしみじみ感じた。歴史が長く、固定観念が多くてオープンマインドになりづらい農業でそれを実践できてるのが本当にすごい。「自分が何を成し遂げたいのか」の信念を持ち、「自分の強み・足りないところは何か」を理解して突っ走るのみ。恥ずかしながらかぶきもんはまだ信念も強みもなく、まだまだ努力が必要。
余談:松本駅の蕎麦屋:水舎
イベントが夜遅く開始だったので、松本駅近くの蕎麦屋で事前に晩飯。
十割そばもあるので、グルテンフリー派にはお勧めです(^^)
※2020/12/13現在、移転してるようです。
【移転】水舎 松本今町店 (スイシャ) – 北松本/そば [食べログ] (tabelog.com)
本稿の最後に
信州の人たちの個性の豊かさに圧倒されると同時に、平凡なかぶきもんは自分も頑張らねばと刺激をたっぷりいただきました。山梨のピアノサークルに参加するときも、個性的かつ温かい人の多さに毎回驚かされ、似たような感情になります。キレイな水資源や豊かな自然・農作物のおかげか、単に頭を使う必要のない都会が平均的な人間を生み出しやすいだけなのか。平均的な人代表の私が偉そうなこと言えたもんではないですが、なんだかいつも不思議に思います。
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